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第11回臨床疫学セミナー「データから知りたい因果効果を探るには:クエスチョンと統計手法をつなぐ教科書では学べない思考力養成講座」(2023/8/25 (金) 10:00-18:10 & オンデマンド) を開催します

概要

日時:2023/8/25 (金) 10:00~18:10 (オンデマンド配信: 2023/9/1 (金) ~2023/10/1(日))
場所:Zoom & AP東京八重洲 KPP八重洲ビル10階 Xルーム
演者: 芝 孝一郎 (ボストン大学)
司会:奥村 泰之 (一般社団法人臨床疫学研究推進機構)
参加費:・Zoomライブ視聴 & オンデマンド視聴: 7000円 (学生 3000円)
・現地参加 & オンデマンド視聴: 12000円 (学生 8000円)
参加登録:https://icer11.peatix.com (登録〆切: 8/24 (木))

企画趣旨

データから病気の原因を特定したり、治療・介入・政策の効果の大きさを探る営みを統計的因果推論といいます。これは医学研究や社会科学・ビジネスの現場において最も重要なデータ分析の目的の一つです。よくある因果推論の解説・教科書では、「傾向スコア」などの個別の統計手法、すなわち「ツール」の数理的な背景や使い方に関するものが多いです。ツールを知ることは当然重要ですが、それだけでは不十分です。新しくて高度な手法をなんとなくデータに当てはめるだけでは適切な因果推論はできないからです。

  • そもそもなぜそのような統計手法が必要なのか
  • その手法で何ができて、何ができないのか
  • 無数にある統計手法がそれぞれどのように異なり、どう使い分けるべきか

本セミナーでは、因果推論の背後にある考え方の解説を通してこれらの疑問に答え、数多く存在する「ツール」を使いこなして目的や状況に沿った適切な手法を使った統計的因果推論を行うための基礎体力を培います。もちろん本セミナーで因果推論の全てを伝えることはできません。しかし、このような基礎体力を一度身につけることは、長期的な財産になります。

  • なんとなく統計ソフトを動かして出てきた結果を解釈している
  • 論文で出てくる様々な手法の何が違うのか、ついていけない
  • 「因果推論では〜すべきだ」という断定的で誤った巷の言説に惑わされる

このようなステージから抜け出し、目的に沿った統計手法の選択・批判的吟味ができるようになる基礎がつくからです。基礎が身につくことで、より高度な内容を学ぶ際の理解も深まります。因果推論の初学者はもちろん、すでに因果推論を実務で使っているがより深い理解を追求したいと感じている人に役立つでしょう。このセミナーは幅広いレベルの方を対象に、因果推論を体系的に学ぶ機会を提供します。

構成

1.データから「●●の効果」を知る:因果推論の基本の3ステップ

データから「●●の効果」を知るための因果推論は大きく3つのステップにわけられます。

1.知りたい「効果」を明確にする

2.その知りたい効果についてデータから知るためにどのような仮定が必要になるのか、どんな状況下でそのような仮定がもっともらしくなるかを考える

3.実際にデータから効果の大きさを計算するための方法と必要な仮定を考えて実装する

各ステップの解説を通じて、以下の疑問に答えられるような因果推論の基礎的な考え方を身につけます。

  • 因果推論における「効果」は一体どのように定義され、なぜそれが統計解析から見えてくるのか?
  • 「実験をしないと因果関係はわからない」、「ランダム化試験は最強」はどこまで本当なのか?

2. なにを調整すればよいのか:教科書が教えてくれない実践的な変数選択と未測定交絡について

観察データを用いた分析でやっかいなのが「交絡」の問題です。交絡の定義、そして交絡因子の理論的な見つけ方についての解説はよく見かけます。しかし、教科書的な解説と現実のデータ分析にギャップがあると感じる人は多いと思います。

  • どのように調整すべき変数を選択すればよいかわからない
  • どんなに頑張っても未測定交絡があるから因果推論は無理だと絶望してしまう
  • 交絡除去のための手法がありすぎてどれを使えばよいかわからない

この回では、そのような悩みに応えるべく、実際のデータ分析において交絡と向き合う際の現実的な考え方について解説します。

3.因果推論における回帰分析の活用:なぜ使うのか・考慮すべき点・よくある誤解

回帰分析を用いて様々な変数を「調整する」という表現を聞いたことがある(あるいは実際にしたことがある)という人も多いのではないでしょうか。

  • 回帰分析における「調整」とは厳密にはどのような意味なのか?
  • 因果推論における回帰分析の役割はなにか?
  • どうやって回帰分析を使っていくべきか?
  • その背後にある仮定はなにか?
  • とりあえず効果を知りたい因子をすべて突っ込めばよいのか?

これらの疑問に答えながら、「なんとなく回帰分析を使って関連を検討する」を卒業するだけでなく、より高度な手法を理解するための基礎的な考え方を解説します。

4.回帰分析で推定された効果の解釈とその他の手法との比較

回帰分析を使った結果は「曝露・治療効果」と曖昧に解釈されることがよくあります。「効果」と一口に言っても、どのような“仮想的な介入”の効果を見ているのかは解析アプローチによって様々。この回では、これらの違いを理解して厳密に回帰分析の結果を解釈できるようになるための考え方を解説します。

「結果がどのような介入効果として解釈できるのか」という観点から、その他のよく使われる因果推論のための統計手法(時間によって変化する治療分析・傾向スコアや操作変数法・自然実験など)の解説も行い、自分が興味のある「効果」の検討に適切な手法を選択するための考え方を紹介します。

5.より複雑な「効果」を見る方法:効果の異質性と媒介分析

疫学・臨床研究における観察データを用いた因果推論の多くは、集団全体における平均的な曝露・治療効果を推定しています。ところが、治療効果は必ずしも集団内で一定ではありません。これは効果の異質性、交互作用、効果修飾といった言葉で表現される現象です。また、単純な曝露効果を見るだけでは曝露・治療が「なぜ」アウトカムに影響するのか、そのメカニズムも不明なままです。

この回では、サブ集団における効果の推定と媒介分析(曝露・治療効果のメカニズムを知るためのアプローチ)について、そのモチベーション・理論的な背景・伝統的な分析アプローチやその注意点と、機械学習を使ったものも含むモダンな手法を紹介します。

6.まとめ:「知りたい効果」と統計手法を合わせるために必要なこと

本セミナーを通してのテーマである、「統計手法を適切に使いこなして『知りたい効果』を見るために考えるべきこと」を整理します。「より強固な因果関係」をみるという曖昧な目的ばかりに気を取られて、本来見たかった効果からずれた何かしらの「因果効果」を見ているにすぎない解析例を見かけることは非常によくあります。要するに異なるクエスチョンに答えているだけにすぎないのに、それらを比較してどちらが良いとか悪いとかを議論することも時間の無駄です。本回の終わりにはそのような事態を避けるために必要な視点が身につくことでしょう。

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